孤独な祖母の決意
大正15年(AD1926年)大正天皇が崩御された12月25日の事だった…
同年5月24日、十勝岳が噴火を起こし…泥流が発生した
祖母7歳_一瞬で家と家族を失った。
+++
天涯孤独となった祖母は、親戚の家を”たらいまわし”にされた。
最後に落ち着いたのは、叔母の経営する”旅館”だった
旅館と言っても小料理屋で座敷を備えた…”芸妓”の居る格式高い旅館だったらしい…
祖母はそこで、生活し始め…家事_洗濯_旅館の手伝い、と叔母に仕込まれていった
やがて”芸妓”を志し、その道へ進んで行った
年月が過ぎ、三味線_小太鼓_唄…師範クラスまで昇り詰めた…。
+++
祖父と結婚…今までの生活を捨てて”農家の嫁”となった
旅館の人や…常連さんが、その、祖母の転身にみんな驚いたと言う
皆、口々に「なんで農家に嫁いだのか?」と言ったそうだ
農家の仕事は、全く分からず_当時の”小姑”にかなり文句も言われたらしいが
”旅館で鍛えた”料理の腕に…小姑が勝てるはずも無く…皆が口をそろえて”美味しい”と言って舌を巻いたそうだ。
+++
祖母の遺品に三味線の”バチ”がある…
父が言っていたのは…その"バチ”は”象牙”で出来ているらしい…。
片方は、すり減っていて、もう使い物にはならないが
もう片方の角は、全く使った形跡がない
…いつか、また三味線を弾こうと思っていたのだろうか?
+++
祖母が生活していた部屋には、現在、母が寝ている…
祖母の箪笥はそのままだ、其処に”バチ”が眠っている
その箪笥の木目を目でなぞると…祖母が、昔の様に話しかけて来るようだ。
灯

コメント
コメントを投稿