祖母の言葉を心に染めて/べっ甲櫛

 今日は晴れ、十勝岳連峰が綺麗に一望できる...今日も綺麗だ。


私が小学生ぐらいの時、櫛を拾った、べっ甲模様で綺麗なコームの櫛だった。

私は喜んでそれを拾い家路を急いだ。

奥の台所に祖母が居た、私はランドセルも下さず、それを祖母に見せた

振り返った祖母の...意外な一言に驚いた。

「その櫛を元の在った場所に置いてきなさい...」

「?」なんで?

台所で昼食の後かたずけしながら、祖母はこう言った。

「前の人が身に着けていた物は、その人の厄も一緒に拾うんだよ...だから何でも拾ってはいけないんだよ...。」

「それじゃ、僕も不幸に成るの?」

「そのまま持っていたらね…必ず厄がつくんだよ…。」


私は、怖くなり元在った場所に走り出そうとしていた。


すると祖母が言った、「元の場所に置く時に後ろに放り投げなさい、そして振り返らずに帰っておいで...」


私の同僚が社員旅行の時に温泉で腕時計を取られた事が在る、ロッカーに入れれば良かったものを、脱衣かごにそのまま入れていたらしい。

「ちくしょう、やられた!」…警察沙汰にはしなかったが、いい勉強に成っただろう。


私はその時心の中で「厄も盗まれたな…」とつぶやいた。

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