変身サイボーグ1号/生きるための出稼ぎ
私が6歳の時に突然父が出稼ぎに行った、私には何も言わずボストンバックを担いで駅まで向かった。
私は、その状況が分からず父がいなくなったと思った、とても悲しかった。
その後、母親には事情を聴いたが胸にぽっかり穴が開いた様だった。
夕食の時に父の席は椅子だけがぽつりと在る、みな無言で夕食を食べる…。
3か月後、待ちに待った父が帰って来る。私は父を迎える為に玄関に「おかえり!」と画用紙に書いて父を待った…父が到着したのは夜中だった。
朝起きると、枕元に大きな箱が在った、私はすぐさま箱を抱えて父の寝室に飛んで行った、父は寝ていた、静かに寝室の戸を閉めると茶の間へ向かった。
箱の包装紙を取ると、変身サイボーグ1号シリーズのサイボーグライダー・オートバイセット(1974年発売)だった。
私はそれを、寝る時も、トイレの時も、お風呂の時も必ず傍らに置いていた。
透明ボディーに光るメッキパーツ、見ているだけで心が弾んだ、この輝きは今後の人生に影響を与えた。
そんな喜ぶ私を見る父は何時もと変わらず無言だ、でも、それで十分だった、父がそばに居るだけで嬉しかった。
当時、サイボーグライダー・オートバイセットの価格は5.500円だった、今の価値にして2~3万円の値段だ…。
寡黙な父が出稼ぎ先の玩具屋さんで、私の為に給料袋から紙幣を出し買ってくれた、しかも包装紙まで掛けて…。
近所から、子供達の遊ぶ声が聞こえる、もうすぐ5月5日だ。
一番寂しかったのは父だった、そう思う。
見上げれば、今日も空の青さが目に染みる。
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