あえて語らない父の思い
【7月:農薬散布/成長する稲と私の心】
30Cmほどに成長した稲は、萌黄色から濃い緑に変る
相変わらずの草取りは続く
7月は、病気、害虫予防に農薬を撒く
父が機械を背負い、母が水田の反対側でホースの様な筒を引っ張る
ヴぃぃぃん__エンジンの送風により、ホースに空いた穴から農薬が散布される
この時ばかりは手伝いはさせてくれない、むしろ近づくと怒られるぐらいだ
父も母も重装備で、肌に農薬が付着しない様に、頭の先からつま先まで密閉状態だ
まるで、タイベックススーツを着ている様だった、無論ゴーグルもマスクも装着する
作業小屋で、服を着替える父と母、服が汗で濡れて体に貼りついている
父のうなじと太い腕は日に焼けて真っ黒だ
手ぬぐいで顔を拭くと、薬缶に入った麦茶を、喉を鳴らしながら一気に飲む
汚れた服を運ぶのを手伝う
この日は私が風呂を沸かす___農薬を撒いた日の夕食は必ずソーメンだった
父と母は明日からまた草取りだ
私は、父に「なぜ農業をするのか」聞いた事がある
父は少し微笑み答えなかった
今日は晴れ7月の陽気だ、外で仕事をすると汗が流れる
風に吹かれ、眩しい太陽を見上げると、父の答えが返って来るような気がした。
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