いつか父に、届くなら
「井の中の蛙大海を知らず」「されど、空の青さを知る」
今日は、昨日とうって変わって天気が良い。
見渡せば何処の畑でもトラクターが働いている。
ゴールデンウイークは農家にとって書き入れ時だ、子供の頃からゴールデンウイークは家の手伝いが決まりだった、学校での友達の旅行話が少し羨ましかった。
私の作業分担は肥料袋の口切だった、母が種を機械(トラクターの後ろに着ける種まきの機械)まで運び入れる。私は肥料を入れる、小さい頃は手鍋で入れていたが小学生高学年に成ると肥料袋を持ち上げる事が出来る様になった。
父から教わった口切のコツが在る、最後まで切らずに手を掛ける部分を残す事だ、今でもそれは守り続けている。
少し薄暗くなり、作業が終わる「やっと終わった」私は畔(あぜ)に座り込む足が棒の様だ
母は先に上がり夕食の支度をしている。
父と2人で、農機具の整備をする、辺りが暗くなる。
父が「もう、いいぞ…」と言い家に入る、納屋を見ていると裸電球が消え父も家に戻って来た。
父と風呂に入る、相変わらず無言で湯船につかる。
「背中流そうか?」
「おぅ。」
大きい父の背中を流す、いつも思うが手術の後が生々しい、父が大きな病気をした時の物らしい、その痕は「死んでたまるか!」という叫びそのものだ。
「気持ちいい?」
「…。」
夕食を食べ終わると私は、深い眠りに落ちた…。
父は時々山をじっと見る、その後ろ姿を私が見る。
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