時の道/家族の道しるべ

 私の実家の小道には「黒松」が植えてある


祖父が植えたものだ


実家から畑の中を抜け大きい道路に続く小道


冬、吹雪きに成っても入り口が分かる様に植えたらしい


このころ大きい道路にも街燈などは存在しなかった


祖父はこの「黒松」を自慢していた


「この辺りで、黒松が在る家はうちぐらいだ」と


「そうなんだ!」


子供の私が祖父にそう言うと、笑顔で頭を撫でてくれた


「お前が、大人に成るころはもっと立派な樹に成長してるさ…」


祖父は遠く景色を見る


その黒松だが去年の大雪の時に折れてしまい


年を越して、枯れてしまった


私は、迷いに迷ったが、枯れた黒松にチエーンソーを入れた


グィィィィィン…


木の切りくずが飛び散る


樹の切れる音が悲鳴の様にも聞こえて胸が痛かった


残り2本となった黒松


私は年輪を触りながら祖父を思い出したのだった。

コメント

このブログの人気の投稿

境界を越える夢 ― 明治の風に吹かれて

自分自身のメンテナンスの時間

町内会ゴミ拾い~84歳の生きざま。