中指を繋いだ_見える力と見えない力
私の左手の中指には深い傷があり、縫合した痕が在る
私が、小学5年生の時に家の手伝いをしている時に、バックレーキと言うトラクターの後ろに付ける機械に挟まれた時に出来た傷だ
当時、祖父が運転するトラクターの後ろに乗っていたが
このレーキを油圧で上げる時中指を挟んでしまった
祖父は、私の異変に気付いて、直ぐにバックレーキを下げたが
私の中指は潰れて真っ白に成っていた
不思議なもので指に痛みは全く無く、出血もそれほどしていない
私と、祖父が指を見ていると
母が飛んできて、作業着のまま私を自転車の後ろに乗せて
病院へ全速力でペダルを漕いだ
母が立ち漕ぎをするのを初めて見た
途中出血が激しくなり、タオルで押さえたが、病院に着くころは、タオルが真っ赤に成っていた
病院に着くと外科の先生が
「こりゃ、派手にやったな…」とすぐ、縫合の準備をした
指先に麻酔を打たれ縫合が始まる
この時初めて、指先に痛む感覚が走った
縫合が終わり、止血の為か指の関節が動かないぐらい、包帯を巻かれた
麻酔が切れると、指が脈を打つ様に痛かった
それから、数日後、レントゲンを撮ったり、傷の具合を診断してもらった
骨にも、異常はなかったし、傷口も化膿しては居なかった
しばらく、また包帯のお世話に成った
それから、祖父はバツが悪そうに元気が無かった
私は祖父に言った「大丈夫だよ、じぃちやん」
学校では、ちょっとしたヒーローになって居た
休み時間などは、私の机の周りにクラスの子が集まり
「ねぇ…痛かった?」とか「どれぐらの、傷だったのか?」とか「手術は怖くなかったの?」とか、色々聞かれて、抜糸の日まではそんな感じだった
抜糸をして2~3日で包帯が外れた
包帯が外れた指を、真っ先に祖父に見せた
祖父は、私の指を触り、少し笑顔が戻り私も安心した
しかし、中指が完全に動かせるまで1年掛った
その時の癖か、今、PCのキーボードを打つ時も左手の中指はほぼ使わないでいる
48年後の今、こうして5本の指が在り、仕事をすることが出来る
あの時に、痛くて不自由な経験をしたが、「ご先祖様」が守ってくれたそんな気がしてならない。
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