色褪せた鞍の残光
私の実家には「馬小屋」という小屋がある
昔、馬を飼っていた名残だ
そこには「馬の鞍」が梁に掛けてある…
先日、この馬小屋のゴミを処分したが…この「鞍」だけは捨てられなかった
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父の話だが__小学5年生の頃この馬で牛乳を運んだらしい
毎日_毎朝_早朝、馬橇(ばそり)に牛乳缶を積んで瓶詰めの工場まで運んだ
それを10年以上続けた…
ある日、工場で馬を繋ぎ忘れたらしく中から戻ると馬が居なくなっていた…
父は焦り、辺りを探したが何処にも見当たらない
当時は、その周辺に民家や建物は無く畑や水田が続くだけの何もない場所
まっ平なので、一望すれば馬が確認出来るはずの場所だったが
馬は何処にも見当たらなかった
家に帰ると、馬と馬橇が馬小屋の前に戻っていたらしい、馬が「一人」で帰って来たのだ
もう一つの話が
その頃は、馬で水田を耕していたそうだ…
___馬は疲れると動かなく成り…何をしても、座り込んでしまうらしい
父が後を継ぐまで、そんな馬とのやりとりが何度もあった事を話してくれた…
今の私では、世話は出来ない無いな…と思いながら聞いていた___。
しかし_父がこの鞍を捨てないで置いてあったのは、この馬への愛情だと思う
無骨な父なので「馬への愛情」については語った事が無いが
私には分かる気がした…
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娘には申し訳ないが、私が生きているうちに_この鞍を捨てる事は出来ないだろう…
馬小屋に掛かる手綱を触ると…父の汗が手に伝わった来る気がした。
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