新米を食べる時に

 手作り弁当をレンジでチンする


新米の良い香りが漂う…


この季節の一番のごちそうだ


+++


子供の頃、新米の蒸気が上がると、何時も炊飯器の前に座っていた


香しい甘い香り…新米の季節だけに限られた特別な匂い


「早く炊けないかな?」


お腹を空かせて…この日ばかりは待つ


家族にとっても特別な日だ、自宅で収穫した米を炊いて食べる


皆、どことなくにやけている気がした


父が仕事から上がり、風呂に入る…私も便乗して一緒に入る


「今夜は新米だね…」___「あぁ…そうだな」


父もどこか嬉しそうだ


風呂から上がると新米が炊きあがっている…


私は、髪の毛も濡れたまま、新米の味見をしようとする…が…。


「まだ食べたらだめだよ!仏さんに上げていないから!」


母の激が飛ぶ


私は、パジャマに着替え


仏さんの器に新米ごはんを盛る…良い匂い…


もうよだれで口が一杯だ


リンを叩いて、線香を上げる…


「早く食べたい…」そればかり考える


この日は、皆、仏さんをお参りする


多分、新米が出来た事の報告だろうか?


待ちに待った、ゆうげが始まる


新米を黙々と食べる…


5合炊いた釜がほぼ空に成る…


「あぁ…腹いっぱい!」


おかずは、昨日の余り物だが…新米と食べればご馳走になる


家族で食べる新米…本当に幸せだった



+++


弁当のごはんを一口噛みしめる


「あぁ…あの時と同じ味だ…」


今しみじみと思うのが…家族が苦労して作った米を食べる事の贅沢だ…


無論、私もスーパーで米を買う


が、私は米を作る苦労と手間を知っている


5Kg入り米袋の向こうに米農家の人達の汗が見える


この米を作った人も、家族で新米を味わってるに違いない


レジで会計をする米袋の重さが…家族の重さに感じてならない。




灯




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